梶山内科クリニック|京都市下京区西七条東御前田町の内科・糖尿病内科・循環器内科

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糖尿病の運動療法について

糖尿病の運動療法について

糖尿病の運動療法は、血糖値の改善やインスリンの働きを高めるために非常に重要な治療法の一つです。適切な運動を継続することで、血糖値のコントロールを助けるだけでなく、心血管疾患のリスクを低減し、体重管理にも貢献します。今回は、糖尿病における運動の効果、推奨される運動の種類、注意点について解説します。

 

  1. 運動療法の目的と効果

糖尿病の運動療法には以下のような目的があります。

 

血糖値の低下:筋肉が糖をエネルギーとして利用することで、血糖値が下がる。

インスリンの感受性向上:運動によりインスリンの働きが良くなり、血糖値を効率よく調整できる。

体重管理:適度な運動で消費カロリーを増やし、肥満を予防・改善する。

血圧・脂質の改善:運動は血圧を下げ、善玉コレステロール(HDL)を増やす効果がある。

心血管疾患のリスク低減:運動により動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる。

ストレス解消:運動にはストレスを和らげ、精神的な健康を改善する効果がある。

  1. 運動の種類と実践方法

糖尿病の運動療法には、有酸素運動と筋力トレーニングの2種類があり、それぞれ異なる効果があります。

 

① 有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・サイクリングなど)

効果:持続的に体を動かすことで、血糖値を下げ、心肺機能を向上させる。

推奨される運動:

 ウォーキング:130分以上の速歩が理想的(115×2回でもOK)。

ジョギング:軽いペースでのランニング。無理のない範囲で行う。

サイクリング:関節に負担が少なく、楽しく続けやすい。

水泳・アクアエクササイズ:水中での運動は膝や腰への負担が軽減されるため、関節に不安がある人にもおすすめ。

ポイント:

 11530分、週35回を目標にする。

無理なく続けられる強度(軽く汗をかく程度)で行う。

食後3060分後に行うと血糖値の上昇を抑える効果が高い。

 

② レジスタンス運動:(腹筋、腕立て伏せ、スクワットなど

効果:筋肉量を増やし、インスリンの感受性を高めることで、長期的に血糖コントロールを改善する。

推奨される運動:

 スクワット:太ももの筋肉を鍛え、血糖消費を促進する。

腕立て伏せ(プッシュアップ):上半身の筋肉を強化する。

ダンベル運動:軽いダンベルを使って腕や肩の筋肉を鍛える。

レジスタンスバンド運動:負荷をかけた筋力トレーニングができる。

ポイント:

 23回、各種目1015×2セット程度行う。

無理のない範囲で少しずつ強度を上げていく。

筋トレの後に有酸素運動を行うと、より血糖コントロール効果が高まる。

  1. 運動のタイミング

食後3060分後に運動すると、食後血糖値の上昇を抑えやすい。

朝の運動は、夜間の血糖値上昇を抑えるのに有効。

寝る前の軽いストレッチは、血糖値の安定とリラックス効果が期待できる。

  1. 運動時の注意点

糖尿病患者が運動を行う際には、以下の点に注意が必要です。

 

① 低血糖のリスク

運動中や運動後に血糖値が下がりすぎると、低血糖を引き起こす可能性があります。

 インスリンや血糖降下薬を使用している場合は、運動前に軽く糖分を補給する。

運動中にめまい、動悸、手の震えなどが起こったらすぐに中止し、ブドウ糖やジュースを摂取する。

運動前後に血糖値を測定し、安全を確認する。

② 高血糖時の運動のリスク

血糖値が250mg/dL以上の場合、運動を控えるべきです。

 高血糖時に運動すると、ケトアシドーシスを引き起こす可能性があります。

③ 合併症がある場合の注意点

糖尿病網膜症がある方は、激しい運動(重量挙げなど)を避ける。必ず医師の指示に従って運動してください。

糖尿病腎症がある方は、過度な筋力トレーニングを避ける。必ず医師の指示に従って運動してください。

  1. 継続するためのポイント

糖尿病の運動療法は、「無理なく続けること」が最も大切です。

 

① 楽しくできる運動を選ぶ

ウォーキングやサイクリングなど、気軽にできる運動から始める。

音楽を聴きながら、友人や家族と一緒に運動する。

② 日常生活での運動を増やす

エレベーターではなく階段を使う。

こまめに立ち上がってストレッチをする。

掃除や庭仕事も運動の一環として取り入れる。

③ 運動の記録をつける

運動した時間や内容を記録し、モチベーションを保つ。

スマートウォッチやアプリを活用して、運動量を可視化する。