梶山内科クリニック|京都市下京区西七条東御前田町の内科・糖尿病内科・循環器内科

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1型糖尿病の薬物療法について

1型糖尿病の薬物療法について

1型糖尿病は、自己免疫の異常により膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンをほとんど分泌できなくなる病気です。そのため、薬物療法の中心はインスリン療法であり、適切なインスリン投与を行うことで血糖コントロールを維持し、合併症を防ぐことが重要です。本記事では、1型糖尿病における薬物療法の種類や治療法について詳しく解説します。

  1. 1型糖尿病における薬物療法の目的

1型糖尿病の薬物療法は、以下の目的で行われます。

  • 血糖値を正常範囲に保つ(食後血糖・空腹時血糖・HbA1cの管理)
  • 合併症を予防する(網膜症・腎症・神経障害など)
  • 日常生活の質(QOL)を向上させる
  • 血糖値の急変動(高血糖・低血糖)を防ぐ
  1. 1型糖尿病の薬物療法:インスリン療法

1型糖尿病では、体内でインスリンを分泌できないため、外部からインスリンを補充することが必須です。インスリン療法にはいくつかの方法があり、患者のライフスタイルや血糖管理の状況に応じて適切な方法が選択されます。

インスリンの種類

インスリンは作用時間の違いによって、以下のように分類されます。

種類

作用発現時間

ピーク時間

持続時間

特徴

超速効型

リスプロ(ヒューマログ)、アスパルト(ノボラピッド)、グルリジン(アピドラ)

15分以内

1~2時間

3~5時間

食前や食直後に使用し、食後血糖の上昇を抑える

速効型

レギュラーインスリン(ヒューマリンR、ノボリンR

30分以内

2~4時間

5~8時間

食事の約30分前に投与する

中間型

NPHインスリン(ヒューマリンN、ノボリンN

1~2時間

4~12時間

12~18時間

持続的な血糖コントロールに用いる

持効型

グラルギン(ランタス、トレシーバ)、デテミル(レベミル)

1~2時間

ピークなし

24時間以上

1日12回の投与で安定した血糖管理が可能

混合型

超速効型+中間型の混合

1回の注射で異なる作用を持つインスリンを補う

インスリン療法の方法

1型糖尿病の治療には、基本的に 強化インスリン療法(複数回注射)または インスリンポンプ療法(持続皮下インスリン注入療法)が選択されます。

(1) 強化インスリン療法

超速効型 or 速効型インスリン(食前)+ 持効型 or 中間型インスリン112回)を組み合わせる方法。

特徴

  • 血糖コントロールの精度が高い(生理的なインスリン分泌に近い)
  • 食事や運動の影響を受けやすいため、自己管理が重要

(2) インスリンポンプ療法(CSII:持続皮下インスリン注入療法)

インスリンポンプを装着し、24時間持続的に少量のインスリンを皮下に注入し、食事時に追加でボーラスインスリンを投与する方法。

特徴

  • 最も生理的なインスリン補充に近い方法
  • 食事や運動に応じて柔軟にインスリン投与が可能
  • ポンプの装着が必要で、機器の管理が求められる
  • インスリン供給が停止すると高血糖やケトアシドーシスを起こすリスクがある
  1. 1型糖尿病における補助的な薬物療法

最近では、インスリン療法に加えて、補助的に使用される薬剤も注目されています。

SGLT2阻害薬

  • 腎臓での糖の再吸収を抑え、尿から糖を排出することで血糖を下げる。
  • 体重減少効果や心血管疾患リスク低減が期待される
  • ケトアシドーシスのリスクがあるため、慎重な管理が必要。
  1. まとめ

1型糖尿病の薬物療法の基本は インスリン療法 であり、患者のライフスタイルや血糖コントロールの状況に応じて、強化インスリン療法やインスリンポンプ療法が選択されます。また、補助的にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が使用されることもあります。