2026/09/24
糖尿病にはどんな種類がある?1型・2型・その他の糖尿病の違い
「糖尿病」と聞くと、食べ過ぎや運動不足によって起こる病気というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、糖尿病にはいくつかの種類があり、すべてが生活習慣だけを原因として起こるわけではありません。
日本糖尿病学会では、糖尿病を原因によって、
① 1型糖尿病
② 2型糖尿病
③ その他の特定の機序・疾患による糖尿病
④ 妊娠糖尿病
の4つに分類しています。[1]
① 1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓にあるインスリンを作るβ細胞が壊されてしまう糖尿病です。
インスリンとは、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪細胞などへ取り込ませ、血糖値を下げる働きをするホルモンです。
1型糖尿病では、このインスリンを自分の体で十分に作れなくなります。
多くの場合、免疫の仕組みが誤って自分のβ細胞を攻撃する自己免疫が関係しています。
そのため、1型糖尿病では基本的にインスリン治療が必要です。日本糖尿病学会でも、1型糖尿病の治療原則はインスリン療法とされています。
子どもだけの病気ではありません
「1型糖尿病=子どもの病気」と思われることがありますが、成人になってから発症することもあります。
また、1型糖尿病にも発症の仕方に違いがあります。
- 急速にインスリン分泌が低下するタイプ
- 数年かけて徐々にインスリンが出なくなる緩徐進行1型糖尿病
- 非常に短期間で発症する劇症1型糖尿病
などがあります。
緩徐進行1型糖尿病では、発症初期には2型糖尿病のように見えることもあります。
② 2型糖尿病
日本で最も多いのが2型糖尿病です。
2型糖尿病では、
インスリンの分泌が十分でないこと
と、
インスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)
の両方が関係して血糖値が上がります。
発症には、
- 遺伝的な体質
- 肥満
- 運動不足
- 食生活
- 加齢
- 睡眠や生活リズム
など、さまざまな要因が関係します。
つまり、2型糖尿病も単純に「食べ過ぎだけ」が原因ではありません。
家族に糖尿病の方が多い場合など、比較的やせていても発症することがあります。
2型糖尿病でもインスリンを使うことがあります
「インスリンを使っているから1型糖尿病」というわけではありません。
2型糖尿病でも、インスリン分泌が低下した場合や、著しい高血糖、感染症、手術などの際にはインスリン治療が必要になることがあります。
そのため、糖尿病の種類と治療方法は必ずしも同じではありません。
③ その他の特定の機序・疾患による糖尿病
1型・2型以外にも、原因が比較的明確な糖尿病があります。
日本糖尿病学会ではこれらを、**「その他の特定の機序、疾患によるもの」**として分類しています。
代表的なものを紹介します。
遺伝子異常による糖尿病
特定の遺伝子異常によってインスリン分泌が低下する糖尿病があります。
代表的なのが**MODY(若年発症成人型糖尿病)**です。
MODYは若い年齢で発症することが多く、親から子へ遺伝する場合があります。1型や2型糖尿病と診断されていた方が、詳しく調べるとMODYだったということもあります。日本糖尿病学会でも、MODYや新生児糖尿病などを単一遺伝子異常による糖尿病として扱っています。
膵臓の病気による糖尿病
膵臓はインスリンを作る臓器です。
そのため、
- 慢性膵炎
- 膵臓の手術後
- 膵がん
- その他の膵疾患
などで膵臓の働きが低下すると、糖尿病になることがあります。
この場合、一般的な2型糖尿病とは病態が異なるため、治療法も変わることがあります。
ホルモンの病気による糖尿病
体内のホルモン異常によって血糖値が上昇することもあります。
例えば、
- クッシング症候群
- 先端巨大症
- 褐色細胞腫
などの内分泌疾患が原因となることがあります。
このような場合は、血糖値だけでなく原因となっている病気の治療も重要です。
薬剤による糖尿病
薬の影響で血糖値が上昇する場合もあります。
代表的なのが副腎皮質ステロイド薬です。
ステロイド薬は必要な治療として使用される一方、血糖値を上げることがあります。
そのほか、一部の免疫抑制薬や抗がん薬などでも高血糖や糖尿病が起こることがあります。
そのため、「最近薬を開始してから血糖値が上がった」という場合には、服薬内容を確認することが大切です。
④ 妊娠糖尿病
妊娠中はホルモンの影響によってインスリンが効きにくくなるため、血糖値が上がりやすくなります。
妊娠中に初めて発見された糖代謝異常のうち、糖尿病と診断するほどではないものを妊娠糖尿病と呼びます。
妊娠糖尿病は出産後に血糖値が改善することも多いですが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くなるため、出産後も定期的な血糖検査が重要です。
なお、妊娠する前から糖尿病があった場合や、妊娠中に明らかな糖尿病が見つかった場合は、妊娠糖尿病とは区別して考えます。
1型と2型はどうやって区別するの?
血糖値やHbA1cだけでは、糖尿病の「種類」までは分からないことがあります。
必要に応じて、
自己抗体検査
→ 1型糖尿病でみられる自己免疫の有無を調べる
Cペプチド検査
→ 自分の膵臓からどの程度インスリンが出ているかを調べる
遺伝子検査
→ MODYなどが疑われる場合に検討する
などを行います。
特に、
- 若い年齢で糖尿病を発症した
- やせているのに高血糖が強い
- 急に血糖値が悪化した
- 家族に若年発症の糖尿病が多い
- 飲み薬を使っても急速に血糖値が悪化する
といった場合には、2型糖尿病以外の可能性も考えることがあります。
まとめ
糖尿病は大きく、
1型糖尿病
→ インスリンを作るβ細胞が壊される
2型糖尿病
→ インスリンの分泌不足とインスリン抵抗性が関係する
その他の糖尿病
→ 遺伝子異常、膵臓の病気、ホルモン異常、薬剤などが原因
妊娠糖尿病
→ 妊娠に伴って起こる糖代謝異常
に分類されます。
糖尿病は種類によって治療方法が大きく異なることがあります。
そのため、単に「血糖値が高い」というだけでなく、なぜ血糖値が高くなっているのかを正しく判断することが大切です。
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参考文献
[1] 糖尿病の分類(1型・2型・その他・妊娠糖尿病)
日本糖尿病学会「糖尿病診断基準」。糖尿病を成因により4群に分類しています。
[2] 1型・2型糖尿病の病態
日本糖尿病学会「糖尿病ってどんな病気?」。1型では膵β細胞の破壊、2型ではインスリン分泌低下とインスリン抵抗性が関係します。
[3] 単一遺伝子異常による糖尿病
日本糖尿病学会「単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究」。MODY、新生児糖尿病などについて解説されています。
[4] 妊娠糖尿病・その他の糖尿病
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK). What Is Diabetes?