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マンジャロは糖尿病予防に効果がある?

マンジャロは糖尿病予防に効果がある?

マンジャロの成分であるチルゼパチドは、体重を減らすだけでなく、肥満があり「前糖尿病」の状態にある方で、2型糖尿病への進行を大きく減らす可能性が近年の研究で明らかになってきました。

特に注目されているのが、約3年間にわたって行われた「SURMOUNT-1」という大規模な臨床試験です。[1]

そもそも「前糖尿病」とは?

前糖尿病とは、正常より血糖値が高いものの、まだ糖尿病と診断されるほどではない状態です。

一般的には、

  • HbA1c:5.7~6.4%
  • 空腹時血糖:100~125mg/dL

などが目安になります。[2]

「まだ糖尿病ではないから大丈夫」と思われがちですが、前糖尿病の方は将来2型糖尿病になるリスクが高く、体重や血糖を早い段階から管理することが大切です。

 

約3年間で糖尿病になった人は1.3%

SURMOUNT-1では、肥満と前糖尿病がある1,032人を対象に、チルゼパチドを使用した人と「プラセボ」を使用した人を約3年間比較しました。[1]

プラセボとは、薬の効果を正確に調べるために使われる「有効成分を含まない比較用の治療」のことです。

たとえば、「マンジャロを使った人」と「見た目などは似ているものの有効成分が入っていない治療を受けた人」を比べることで、マンジャロそのものにどの程度の効果があるのかを調べます。

その結果、176週間(約3年4か月)の間に2型糖尿病を発症した割合は、

チルゼパチドを使用した人:1.3%
プラセボを使用した人:13.3%

でした。

統計学的には、チルゼパチドを使用したグループでは、糖尿病へ進行するリスクが約93%低かったという結果です。[1]

ただし、これは「マンジャロを使えば誰でも糖尿病を93%予防できる」という意味ではありません。

この研究の対象は、肥満があり、すでに前糖尿病の状態だった方です。

 

体重も大きく減少

同じ研究では、176週間後の平均体重は、

  • 5mg:−12.3%
  • 10mg:−18.7%
  • 15mg:−19.7%
  • プラセボ:−1.3%

となりました。[1]

つまり、糖尿病発症リスクの低下には、マンジャロによる大きな体重減少も深く関係していると考えられます。

 

2026年の研究でも「正常血糖へ戻る」人が多い

さらに2026年に発表されたSURMOUNT-5の解析では、肥満と前糖尿病がある425人について調べられました。

チルゼパチドを72週間使用した方では、89.9%が「正常血糖」の範囲まで改善しました。[3]

この研究でいう正常血糖とは、

HbA1c 5.7%未満 + 空腹時血糖100mg/dL未満

を両方満たした状態です。

また、体重だけでなく、インスリン抵抗性も改善していました。[3]

※このSURMOUNT-5の結果は、もともとの試験終了後に前糖尿病の人を詳しく分析した「事後解析」です。そのため、この数字だけで糖尿病予防効果を断定することはできません。

 

なぜ体重を減らすと糖尿病を予防しやすくなるの?

2型糖尿病では、肥満、特に内臓脂肪が増えることで、**インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」**が進むことが大きな原因の一つです。

すると膵臓は、血糖を下げるためにより多くのインスリンを出さなければならなくなります。

体重を減らすことで、

内臓脂肪が減る
↓
インスリンが効きやすくなる
↓
血糖値が改善する
↓
膵臓への負担が減る

という変化が期待できます。

2025年に発表されたSURMOUNT-1の詳しい解析でも、チルゼパチドによってインスリン感受性だけでなく、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の働きも改善する可能性が報告されています。[4]

つまり、単に体重が減るだけでなく、糖代謝そのものが改善する可能性があります。

 

マンジャロをやめても効果は続く?

ここは非常に重要です。

約3年間のSURMOUNT-1では、チルゼパチドによる治療が終了した時点の糖尿病発症率は1.3%でした。

しかし、その後17週間薬を中止すると、糖尿病を発症していた割合は**2.4%**に増加しました。

一方、プラセボ群では13.7%でした。[1]

つまり、マンジャロを一定期間使用すれば、その後ずっと糖尿病にならなくなるわけではありません。

治療によって減った体重や改善した生活習慣を、その後も維持することが大切です。

 

マンジャロは「糖尿病予防薬」なの?

ここも誤解しやすいポイントです。

現在の研究では、チルゼパチドが肥満と前糖尿病のある人で、2型糖尿病への進行を大きく減らすことが示されています。

一方で、米国糖尿病学会(ADA)の2026年ガイドラインでも、チルゼパチドなどの薬によって特定の人では糖尿病発症率が低下することを認めていますが、

「糖尿病予防だけ」を目的として長期間薬を使うことによる最終的なメリットについては、まだ十分なデータがないとしています。[5]

したがって、

「糖尿病を予防するためだけにマンジャロを使う」

というよりも、

「肥満を適切に治療し、体重や血糖を改善することで、結果として将来の糖尿病リスクを下げる」

と考える方が適切です。

 

糖尿病になる前の体重管理が重要

ADAの2026年ガイドラインでも、前糖尿病があり体重が多い方では、まず5~7%以上の体重減少を目標にすることが推奨されています。

たとえば体重80kgの方なら、

約4~6kg程度の減量

でも糖尿病予防につながる可能性があります。

特に、

  • BMIが高い
  • HbA1cが5.7~6.4%
  • 空腹時血糖が100~125mg/dL
  • 家族に2型糖尿病の方がいる
  • 内臓脂肪が多い
  • 血圧や中性脂肪も高い

といった方では、糖尿病になってからではなく、前糖尿病の段階から体重や血糖を管理することが重要です。

 

まとめ

最近の研究では、マンジャロの成分であるチルゼパチドは、肥満と前糖尿病がある方で、2型糖尿病への進行を大きく減らす可能性が示されています。

約3年間の大規模試験では、糖尿病を発症した割合は、

チルゼパチド:1.3%
プラセボ:13.3%

でした。[1]

また、2026年の研究でも、多くの方が前糖尿病から正常血糖へ改善しています。[3]

ただし、マンジャロを使えば必ず糖尿病を予防できるわけではありません。

大切なのは、糖尿病になる前から体重・血糖・食事・運動などを適切に管理することです。

 

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参考文献

[1] 糖尿病発症率1.3% vs 13.3%、体重減少率、中止後の変化の出典
Jastreboff AM, et al. Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention. N Engl J Med. 2025;392:958-971.
doi:10.1056/NEJMoa2410819.

[2] 前糖尿病の定義・HbA1c、空腹時血糖の基準の出典
American Diabetes Association Professional Practice Committee. Diagnosis and Classification of Diabetes: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).

[3] 2026年SURMOUNT-5「正常血糖へ改善した割合89.9%」の出典
Galindo RJ, et al. Reversion to normoglycemia with tirzepatide vs semaglutide in participants with obesity and prediabetes: a post hoc analysis of SURMOUNT-5. J Endocrinol Invest. 2026;49:1611-1620.
doi:10.1007/s40618-026-02895-3.

[4] インスリン感受性・β細胞機能改善についての出典
Mari A, et al. Tirzepatide Treatment and Associated Changes in β-Cell Function and Insulin Sensitivity in People With Obesity or Overweight With Prediabetes or Normoglycemia. Diabetes Care. 2025;48:1622-1627.

[5] 糖尿病予防における薬物療法・体重管理についての出典
American Diabetes Association Professional Practice Committee. Prevention or Delay of Diabetes and Associated Comorbidities: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
doi:10.2337/dc26-S003.