2025/02/04
糖尿病の症状と合併症について 糖尿病は、血液中の血糖値が慢性的に高くなる病気であり、初期症状がほとんどない場合も多いですが、進行するとさまざまな症状や合併症を引き起こします。糖尿病の合併症は、急性と慢性の2種類に分類され、重症化すると生活の質(QOL)が大きく低下するため、早期の発見と適切な管理が重要です。
1. 糖尿病の症状
糖尿病の症状は、血糖値の上昇に伴って現れますが、特に2型糖尿病は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまうことが多いです。
代表的な症状
• 多尿(頻尿):血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために尿の量が増えます。
• 口渇(のどの渇き):尿の量が増えることで脱水症状が起こり、喉が渇きやすくなります。
• 多飲:喉の渇きを補うために水分摂取量が増えます。
• 体重減少:インスリンの働きが悪くなると、糖が細胞に取り込まれず、エネルギー不足から体重が減少します。
• 疲れやすい・倦怠感:エネルギー不足により、慢性的な疲労感を感じることがあります。
• 傷が治りにくい:血糖値が高い状態が続くと、傷の治りが遅くなります。
2. 糖尿病の合併症
糖尿病の合併症は、適切な治療が行われない場合に進行し、命に関わる重篤な状態を引き起こすことがあります。合併症には、急性合併症と慢性合併症の2つのタイプがあります。
急性合併症(血糖値が極端に高くなったり、低くなったりすることで発症)
1. 糖尿病ケトアシドーシス(DKA):主に1型糖尿病で発症しやすい。 インスリン不足により、脂肪が分解され、ケトン体が血液中に増加して血液が酸性化する。 症状:激しい口渇、多尿、嘔吐、腹痛、意識障害。 放置すると昏睡状態に陥る可能性があるため、緊急の治療が必要。
2. 高血糖高浸透圧症候群(HHS):主に2型糖尿病の高齢者に多い。 極端な高血糖(600mg/dL以上)によって脱水が進行し、意識障害を引き起こす。 症状:意識障害、脱水症状(皮膚の乾燥、血圧低下)。 適切な水分補給やインスリン療法が必要。
3. 低血糖:インスリンや血糖降下薬の過剰投与、食事の遅れ、運動のしすぎなどが原因。症状:手の震え、冷や汗、動悸、めまい、意識消失。重度になると昏睡状態に陥ることがあるため、ブドウ糖摂取や適切な対応が必要。
慢性合併症(長期間の高血糖が続くことで起こる合併症)
糖尿病三大合併症
- 糖尿病網膜症(失明のリスク) 高血糖により眼の毛細血管が損傷し、網膜に異常が発生する。 進行すると視力低下や失明の原因となる。 定期的な眼科検診が重要。
- 糖尿病腎症(腎不全のリスク) 腎臓の毛細血管が障害され、尿にたんぱくが漏れ出る。 進行すると腎機能が低下し、最終的には人工透析が必要になる。 血糖管理とともに、塩分やタンパク質の摂取制限が重要。
- 糖尿病神経障害(手足のしびれや壊疽のリスク) 末梢神経が障害され、手足のしびれや痛みが発生。 進行すると、足の感覚が鈍くなり、傷に気づかず感染症を引き起こす。 最悪の場合、壊疽(組織の壊死)となり、足の切断が必要になることもある。